IT農業関連での働き口とは|農家からIT企業へ転職する可能性を考える

日本の食料自給率はカロリーベースで約40%と、食料の多くを輸入に頼る状況です。さらに農業分野では、農業従事者の減少と高齢化が進んでいます。

そこで現在注目されているのが「スマート農業」です。スマート農業は、農業にITを取り入れることで作物の生産効率化や高品質化を目指します。

スマート農業の推進により、IT農業関連での働き口が増えていくことが予想されます。今回の記事では、農家からIT企業へ転職する可能性について考えていきたいと思います。

現在のスマート農業は発展途上

現在、多くのIT企業が農業に活用できるソリューションを提供しています。具体的には「作物の品質管理システム」「水や肥料の供給自動化」「流通プラットフォームの構築」などが挙げられます。

ただ、これらの技術は農家の生産支援と言うより、農業技術の進化に貢献するシステムです。現在は、国や自治体、大手企業と連携して技術開発が進められている段階です。農業の大部分を担っている個人の農家に対して、大きな効果を発揮しているとは言えません。

個人の農家に対して効果的でない理由は、農業とITの相互理解が不足しているためです。IT企業は、農業に関する様々なデータを可視化できますが、現場の作業で具体的に役立てる知識が不足しています。農家は、今まで感覚的に作業していた部分を、データの数値と一致できていません。

結局、個人の農家にとっては今までのやり方の方が効率良く、スマート農業の効果を享受できません。現在のスマート農業は発展途上の技術と言えます。

ITと農業の転職事例は?

続いて、ITと農業を行き来する転職事情について見ていきます。IT企業から農家へ転職する事例はいくつかあります。ただ「IT知識を農業に役立てる」という積極的な転職ではなく、「自分はエンジニアの仕事に向いていない」といった働き方を変える転職が多いように思われます。

逆のケースである、農家からITエンジニアに転職は非常に難しいと言えます。IT企業で働くためにはシステム開発の知識が求められるからです。

ただ、ITと農業の交流は徐々に盛んになっており、今後は相互理解が進んでいくと思われます。スマート農業の市場規模は将来的に拡大していくことが予想されており、前職の経歴を活かせる転職の求人が増えるかもしれません。

農業関連のIT企業へ転職する方法

IT企業はシステムを構築する職種である以上、IT知識が必要不可欠です。それは、農業関連のIT企業も同様で、基本的にはエンジニアとなれる人材の採用が中心となります。転職活動をする際は、システム開発の業務に活かせるようなプログラミングやIT知識を学んでおくと良いでしょう。特に、ITロボットやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)に関しての知識は将来性があり、役に立つはずです。

もし、農家からIT企業へ転職したいのであれば、前職でIT化への取り組みを実践していると評価されるでしょう。現在のスマート農業は、データの数値をどのように生産性向上に活かすかという知識が不足しています。ITを使った具体的な作物の育て方を知っていれば、農業関連のシステム構築に活かせます。

また、日本の農業は政府や農協が力を持っているため、それらと交渉していける人材も必要となります。農業関連の団体とコネクションがあり、規制を変えるように働きかけられる人材は需要が高いはずです。

まとめ

ITと農業を組み合わせるスマート農業の取り組みは始まったばかりです。今後は、さらに参入する企業が増え、求人も増加すると予想されます。

将来的に、農業を取り巻く環境は大きく変わっていくでしょう。ロボットが農場に導入され、人工知能を駆使して生産を管理する光景を見られる日はそう遠くないはずです。農業の改革に対して技術貢献していけるようなスキルの獲得を目指しましょう。