会社にとって、いかに生産性を上げていくかは大きな課題と言えます。それはIT企業にとっても同様で、世界的な有名企業であるGoogleは、2012年に社内の生産性を上げるための計画「プロジェクト・アリストテレス」に着手しました。約4年間に及ぶ研究で分かった答えの一つが「心理的安全性を確保できるチームは生産性が高い」という結果でした。
今まで一般的に言われてきたような、リーダーの統率力やメンバーの団結力といったような要素とはまるで印象が異なります。心理的安全性という言葉の意味、そして具体的な実践方法について解説します。
心理的安全性とは?
企業における心理的安全性とは、自分の思ったことや感じたことを素直に言える仕事環境であることを指します。上司やチームメンバーに意見を否定されるような環境では、緊張状態が続き生産性が下がってしまいます。本当の自分をさらけ出し、リラックスできる環境を構築することで、チームの生産性が上がります。
Googleの研究結果では、メンバーの能力や、働く時間、在職期間といった要素はあまり生産性に影響を及ぼさないことが分かりました。それよりも、チームが一人ひとりのメンバーを尊重し、意見やミスが非難されない安心感こそが、最も重要な要素であるとしたのです。
心理的安全性という考え方は、有名企業のGoogleが研究した結果として大いに注目を集めました。現在では、言葉を目にする機会も多くなり、社会や企業に浸透が進んでいます。
心理的安全性を作ると、生産性が上がる理由
チームに心理的安全性を作ると、どうして生産性が上がるのでしょうか。
心理的安全性が高いと、ミーティングなどで安心して意見を述べられます。チーム内のコミュニケーションが活発になり、お互いに協力し合うようになります。結果としてチームの生産性が上がっていきます。
個人の仕事においても、ミスを恐れることなくリスクある行動がとれるようになります。自分で試行錯誤しながら、より効率的な仕事方法を模索できるため、一人ひとりの生産性も上がっていきます。
リラックスして業務に臨むと、ストレスを感じにくくなるため仕事の質も上がっていきます。ストレスは、病気やパフォーマンスの低下といったマイナス面の遠因になります。
チーム内の雰囲気を良くすることで、仲間同士の軋轢といった問題発生を防げます。よけいな問題解消にかける時間が減り、成果を生み出す業務に労力を使えます。仕事が楽しくなるため離職率も下がり、優秀な人材の流出も防げます。
心理的安全性ガイドラインの実践例
心理的安全性ガイドラインとも言うべき、具体的な実践例について説明していきます。
- アンケートの実施
- 一対一のミーティング
- ポイント制度の導入
心理的安全性が高い状態であるかどうか知るため、定期的にアンケートを実施し健全性を可視化します。現在の状態を調査することで、チーム内の改善すべきポイントが分かります。
上司とメンバーとの間に、定期的に一対一のミーティングを設けます。業務内容、仕事上の悩み、キャリアプランなどを定期的に相談することで、信頼関係を構築します。
会社に貢献する様々な行動に対して、チーム内で称賛し合う文化を作ります。例えば、メンバー全員にポイントを授受する制度を作り、報酬として還元する方法があります。ポイント制度により、日ごろ見えにくい業務も評価され、仕事のモチベーションが向上します。
まとめ
チーム内の生産性を上げる要素を徹底的に分析するという研究は、いかにもGoogleらしい進歩主義的な考え方だと思います。心理的安全性の導入は、楽しく仕事をするために必要な要素でとても好感が持てます。
Googleが約4年間もの歳月をかけて研究した考え方を、他の企業でも取り入れない手はありません。効果的な心理的安全性ガイドラインを設置し、チームの生産性を向上させていきましょう。