ファーウェイ問題から考えるエンジニアの立ち振る舞いについて

アメリカ合衆国は、中国の通信機器メーカーであるファーウェイに対して制裁措置を発表しました。ファーウェイは、中国だけでなく国際的に有名なIT企業であり、世界に大きな衝撃が走りました。

制裁措置によって、ファーウェイ新端末の販売を延期する企業が出るなど、日本にも影響が出ています。このような状況の中で、エンジニアとしてはどのように立ち振る舞っていくべきでしょうか。

今回の記事では以下の三つの項目について考察します。

  • ファーウェイ問題の本質
  • IT業界への影響
  • エンジニアが考えるべき事

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

ファーウェイ問題の本質

アメリカ合衆国による制裁措置は、ファーウェイ一社の問題ではありません。ファーウェイ問題は、アメリカ合衆国と中国の関係悪化を象徴した国際問題です。

ファーウェイは、新世代の通信システムである5G向け基地局の分野で、国際的に高いシェアを獲得しました。しかし、通信システムを中国に獲得される事態は、アメリカ合衆国の安全保障にとって好ましい状況とは言えません。

そこで、アメリカ合衆国は安全保障のリスクを減らすために、自国からのファーウェイ排除に乗り出しました。まず、問題の発端となったのが、ファーウェイのCFO(最高財務責任者)である孟晩舟副会長の逮捕です。

孟晩舟副会長は、2018年12月にカナダでイラン制裁に違反した容疑で逮捕されました。この逮捕は、カナダ政府がアメリカ司法省からの要請であったことを明かしています。

逮捕をきっかけに、アメリカ合衆国は「ファーウェイが通信システムを利用してスパイ行為をしている」と主張し、ファーウェイに制裁措置を与えます。ただし、アメリカ合衆国はスパイ行為の明確な証拠を提示しておらず、その主張には疑惑の目が向けられています。

制裁措置は、ファーウェイと民間企業の取引停止という強硬手段にまで発展しました。この制裁措置は他国にも影響を与え、国際情勢において大きな政治問題となっています。

IT業界への影響

ファーウェイ問題は、IT業界にも大きな影響を与えています。例えば、世界的テクノロジー企業であるGoogleは、ファーウェイ製のスマートフォンへ、Android OSの提供を停止すると発表しました。さらに、アメリカ合衆国の半導体企業であるIntelやイギリスの半導体企業であるARMも、ファーウェイとの取引を停止しています。

ファーウェイは、ハードウェアとソフトウェアの両方において供給先を失う事態となりました。通信機器メーカーであるファーウェイにとってその影響は計り知れず、最悪な状況と言えます。

日本はアメリカ合衆国の動向を追従する構えで、日本のIT企業も日本政府の方針に従っていくでしょう。IT業界の中には、国際情勢に翻弄される企業も出始めています。

このような状況の中、2019年6月にはGoogleがアメリカ合衆国に禁輸解除を働きかけているとの噂が報じられました。制裁措置によるファーウェイ自社OS開発の促進が、アメリカ合衆国の安全保障に悪影響を与えると主張しています。

Googleにとってファーウェイは大きな顧客であり、ファーウェイとの取引停止は好ましい状況ではありません。IT業界全体にとってもファーウェイ問題は悪影響が大きく、早期収束がIT業界の希望と言えます。

エンジニアが考えるべき事

国際問題に対して、個人であるエンジニアが働きかけられることはありません。しかし、IT業界が変化する状況に、対応することは可能です。

もともと、IT分野は技術革新のスピードが速く変化が激しい業界です。よって、IT業界で仕事を得るためには、需要に応じてスキルを身に付ける必要があります。

IT業界の状況は常に変化しています。ファーウェイ問題だけでなく、これからも様々な出来事がIT業界に影響を与えるはずです。

変化する状況でも強いのは、会社に頼らず個人でも仕事を得られるエンジニアです。よって、エンジニアは新しい技術の動向を追って勉強することで、個人でも戦える力を身に付けていきましょう。