システム開発において、機能を複数に分けて別々の企業へ依頼することがあります。このような複数ベンダーでの開発を「マルチベンダー開発」と呼びます。
マルチベンダー開発では、複数の企業が協力しプロジェクトを開発します。企業同士の連携が薄く、確認すべき情報の伝達が機能しないと失敗してしまうこともあります。
今回の記事では、複数ベンダーでの開発におけるメリットとデメリット、そして成功させるポイントについて解説していきます。
複数ベンダーの開発のメリット
複数ベンダーの開発におけるメリットは、主に二つあります。
一つ目のメリットは、システムの機能をそれぞれ得意とする企業へと分けて依頼できることです。例えば、メインシステムの開発をA社、ネットワーク構築をB社、セキュリティ対策をC社といったように機能ごとに分けます。各社が専門とする開発分野を依頼することで、より完成度の高いシステムを構築できます。
二つ目のメリットは、開発にかける予算を削減できることです。大規模なシステムの開発においては、類似するプロジェクトが少ないため、予算の規模を掴みにくいことがあります。複数のベンダーに開発を依頼することで、機能ごとに見積もりを比較できるため、適正な予算でシステムを構築できます。
複数ベンダーの開発のデメリット
複数ベンダーの開発においては、デメリットも存在します。
システムを企業同士で連携して開発していくのは、非常に難易度の高いプロジェクトとなります。システム構築において、担当する機能の切り分けがあいまいになりやすい欠点があるからです。境界線上に位置するような機能については、どちらの企業が開発するのか揉めることがないように、担当を明確にしておく必要があります。
そして、異なる機能の組み合わせや、分野間における情報のやり取りでは、仕様を確認すべき場面が必ず発生します。企業同士の連携がスムーズでなければ、開発が止まってしまう事態もありえます。
機能を切り分けて別々の企業に依頼するためには、システムを構築するために必要な機能を、クライアントがもれなく把握しておく必要があります。把握に漏れがある場合、開発費用の追加やスケジュールの遅延といったリスクが発生する可能性が高くなります。
複数ベンダーで開発を成功させるポイント
複数ベンダーで開発を成功させるポイントは主に三つあります。
一つ目は、依頼する企業にシステム開発の知識を持つ人材がいることです。例えば、依頼側からプロジェクトマネージャーを擁立すると、企業間の連携が取りやすくなり、システムに必要な機能が漏れる可能性は少なくなります。
二つ目は、開発を依頼する企業の作業範囲を明確にしておくことです。担当があいまいな機能に関しては、あらかじめ揉める可能性のある要素を取り除いておくと、それぞれの企業が開発しやすくなります。
三つ目は、開発を依頼した企業と綿密に連絡を取ることです。各社のスケジュールに気を配り、遅延が発生しないように注意しましょう。何か問題があれば、柔軟に対応できるように、パートナーとしての関係を構築しておく必要があります。
まとめ
複数企業が参加するマルチベンダー開発は、大変難しいプロジェクトです。頻繁に仕様の確認が必要となるため、企業との連携には細心の注意を払いましょう。
クライアント企業がシステム構築のためにチームを作り、企業の選別からプロジェクト管理まで密に携わっていくと成功する可能性が格段に上がります。上手く開発企業をまとめることで、予算を削減して完成度の高いシステムを構築できるはずです。