エンジニア出身の経営者が気を付けるべき起業時の問題とは?

ITエンジニアの方の中には独立や起業を考える方もいます。最近では営業出身の経営者だけでなく、技術者出身の経営者も増えています。

ただし、起業する際には気を付けるべきことがいくつか存在します。今回の記事では、エンジニアが起業するメリットとデメリット、起業する前にやるべきことについて解説します。

エンジニアが起業するメリット

エンジニアが起業するメリットとしては、次のような項目が挙げられます。

論理的思考能力が高い人は経営者に向いている

ITエンジニアはシステム構築の経験から、筋道を立てて考える論理的思考能力に長けています。ビジネスの世界では情に流されず決断すべき場面も多く訪れます。経営判断やリスクヘッジなど、様々な業務に技術者時代の経験が役立つはずです。

IT分野は起業するコストが低い

IT分野では、システム構築や技術力の提供が主な業務となります。他の業種で必要な仕入れや在庫管理といったコストがほとんど発生しません。個人事業主であれば店舗開業や従業員雇用の必要もなく、起業するコストを低く抑えることが可能となります。

IT市場が伸びており将来性が高い

IT市場は変革のスピードが速く、毎日のように新技術のニュースが発表されています。例えば、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、RPA(ロボットによる業務自動化)など、将来的に伸びると言われる分野が多くあります。市場の拡大により、起業後の利益向上が期待できるはずです。

エンジニアは個人事業主に向いている

起業は、必ずしも会社を立ち上げて法人を設立するわけではありません。個人事業主として起業すれば、自分一人だけでもビジネスを始められます。ITエンジニアは自分の技術力を企業に提供できるため、個人でも収益を確保しやすい強みがあります。

経営不振の際にリスクヘッジしやすい

自社開発のプロダクトやサービスが軌道に乗るまでには時間がかかります。しかしIT分野であれば、主力業務を受託開発へ切り替えることが可能です。経営不振の際でも、まず利益を確保することでリスクヘッジしやすくなります。

エンジニアが起業するデメリット

逆にエンジニアが起業するメリットとしては、次のような項目が挙げられます。

システム開発以外の業務が多くなる

会社員のITエンジニアであれば、仕事時間の多くをシステム開発の業務に集中できます。しかし起業して経営者となれば、営業や経理、マーケティングなど様々な業務を担う必要があります。特にエンジニアは、一つの仕事に集中して取り組むシングルタスク型のタイプが多く、複数業務の効率化が苦手な方も多く見受けられます。

収入が安定しない可能性がある

起業すれば、会社の利益によって収入が大きく変動します。特にスタートアップの時期は利益が少ない傾向にあるため、会社員時代のような安定したい収入は得られない可能性があります。

モチベーションを維持する必要がある

ビジネスでは技術力の高さだけでなく、絶対に事業を成功させるという強い意志が必要となります。起業時はモチベーションが高くても、維持していくのは大変です。

起業する前にやるべきこと

素晴らしい事業のアイデアがあっても、起業が成功するとは限りません。特にエンジニアが起業する前にやるべきこととしては、次のような内容が挙げられます。

初期資金を準備する

IT分野の起業であっても、ある程度の初期資金は必要です。特にスタートアップの時期は、利益が少なく資金繰りに苦労します。収入が少なくても生活できるように、個人事業主でも最低100万円ほどは準備しておきましょう。

会社員時代に人脈を作る

仕事上の人脈を個人で開拓することはとても大変です。独立して個人事業主となると社会的信用が低く見られるため、大きな案件を受注することは難しくなります。会社員時代に企業の肩書を利用して、多くの人脈を作っておきましょう。

副業を経験しておく

突然会社を辞めて起業することは、収入や仕事獲得の面で大きなリスクがあります。まずは会社員時代に副業を行い、ある程度の収入を確保しておきましょう。さらに副業の経験は、経営不振の際にリスクヘッジとしても役立ちます。

まとめ

エンジニア出身の経営者には、スタートアップのコストや経営不振時のリスクヘッジなど特に資金面でのメリットが多く見られます。エンジニア出身ならではの強みを生かし、やるべきことを準備してから起業することをおすすめします。