2020年から、小学校でプログラミング教育が必修化されます。世界的にも、エストニアやフィンランドで既に導入されている他、様々な国においてプログラミングを学校教育へと取り入れる動きがあります。
ただ「必修化」という言葉が独り歩きしていて、実際にどのように導入されるか、あまりご存知ない方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、プログラミング教育の目的と内容の解説、そして授業で活用すべきツールについて提案していきます。
プログラミング教育の目的
小学校という早い段階の年齢から、プログラミングについて教育する目的は主に三つあります。
一つ目が、論理的思考力の育成です。論理的思考力は、目的達成や問題解決において、順序立てて考える力を指します。例えば、ユーチューバーになりたければ、必要な機器を購入する、機器の使い方を学ぶ、動画を投稿する、視聴者を増やす、収益化する仕組みを作るといったように考えていきます。自分の希望を実現するために、必要な手順について自分で考える力を育成します。
二つ目が、情報機器への対応です。現在、パソコンやスマートフォンは社会参加へ欠かせない機器になりました。もしも、使い方が分からなければ、様々な場面で不便を強いられます。情報機器を日常生活へ活かしていく方法を学習します。
三つ目が、社会変化への対応力の強化です。現代社会は、以前と比べて大きく様変わりしました。誰もがスマートフォンを持ち、インターネットなしでは社会が成り立ちません。そして、これからも社会は変化していくことが予想されます。プログラミングは、変化に対応していくための重要なツールになり得ます。
実際に導入されるプログラミング教育の内容
プログラミング教育の必修化については、小学校に「プログラミング」という授業が追加されると勘違いしている方もいるのではないでしょうか。実は、プログラミング教育は既にある授業の中で実践されるため、「プログラミング」という授業はありません。学習する内容や時間に関しては、各学校の判断に任されます。
実際に勉強する具体的な内容としては、次のような例が考えられます。
- 身近な電化製品にプログラミング技術が利用されていることを知る
- 図やグラフの作成においてソフトウェアを利用する
- 描いた絵をプログラミングで動かしてみる
小学校で実際にプログラミング言語を使い、コーディングするわけではありません。プログラミングの考え方を知り、勉強や生活に役立てる方法を学ぶのが目的です。
授業で活用するべきツール
プログラミング教育に関して明確な定義はなく、授業への活用については先生の資質に大きく左右されます。そこで、利用すると役立つツールを提案してみたいと思います。
まず、お勧めしたいのがロボットプログラミングの導入です。プログラムを組んでロボットを動かせる教材は、様々なメーカーから発売されています。価格もさほど高価ではなく、安い製品であれば一万円前後から存在します。プログラミング学習においては、実際に動かす体験が非常に大切です。ロボットに命令して思い通りに動かせた時の喜びが、さらなる興味を生んでいきます。
また、視覚的なオブジェクトでプログラムを作る、ビジュアルプログラミング言語もお勧めできます。ビジュアルプログラミング言語は、プログラムをテキストではなく、グラフィックシンボルを配置することで作成します。プログラムを視覚的に理解しやすくなる他、構文エラーにも寛容なため、子供への教育に適しています。
まとめ
生徒にプログラミングを教える際には、まず入り口で興味を持ってもらうことが重要です。そのためには、ロボットやゲームといった子供が好きな教材を選ぶと、スムーズに入りやすくなります。
2020年のプログラミング教育必修化は単なるスタートでしかなく、これから進化していくことが重要です。将来的には、生徒が自主的にプログラムを組めるような環境が実現することを期待しましょう。