人材不足が極まっている現在、大手転職サービス会社のデータでは全職種の転職求人倍率が2倍を超え、ITエンジニアに至っては5倍を超えているとのことです。35歳エンジニア定年説などは過去の話になり、50歳代のシニアエンジニアでもニーズに合った現役力を持っていれば、正社員採用されるケースも珍しくありません。
ただ、シニアエンジニアに求められるものは、若手・中堅エンジニアとは当然異なる内容になりますので、充分理解しておく必要があります。
自走できる文字通りの即戦力を求められます
経験豊富なシニアエンジニアでも、職場が変われば新しく習得することは当然発生しますが、周りの若手や中堅エンジニアから懇切丁寧にフォローされることはまず無く、過去資料の格納先を知らされてわからないことは質問してくださいと放置されることがよくあります。シニアエンジニアは、その過去資料の内容から開発案件の要件・職場の技術レベル・必要スキルなどを探り当て、また各資料の作成者から関係者を探り当ててメンバー相関図を作るなどの自走力が望まれます。
また、独力で理解できることは限られますので、妙にプライドを意識するのではなく、質問できる相手を見つけて基本的なことをしっかり確認するという年齢には無関係な素直さは大切です。
自分に何を求められているかを明確に知る必要があります
シニアエンジニアの採用が珍しくなくなっているとはいえ、採用側にはそれなりの事情があると思います。職場に若手が多くシニアエンジニアのヒューマンスキルを含めた豊富な経験に期待するケース、レガシーなシステムの保守開発が続くためその知見・経験を持つシニアエンジニアを採用して開発体制を強化したいケース、若手・中堅エンジニアが採用できないかためやむなくシニアエンジニアを採用するケースなどがあります。
自分にどういうことを最優先に期待されているかをまず確認して、その期待に添えるように行動する必要があります。
新しいものを受け入れる柔軟性とチャレンジ精神が必要です
シニアになると、ともすれば自分の持つスキルや経験の範囲で業務を進めがちですが、特にIT業界では新しい技術が日々生まれており、それらを活用することで飛躍的に時間やコストを削減できる場合があります。横文字の技術がほとんどなのでとっつきにくいことは確かですが、新しいことに興味を持ち、利用できそうな技術があればすぐに調査して試してみるというような柔軟性やチャレンジ精神はいくつになってもエンジニアには必要です。
メンバーの輪に自分から入る努力が必要です。
若い上司やメンバーは、シニアエンジニアに一目を置いていても、すぐにフレンドリーに接してくれません。どう接したらいいかわからないという場合も多々あります。やはりシニアエンジニア自身から、若いメンバーの輪に入っていく努力が必要です。共通の話題は無くても、いっしょに昼食を取りながら若いころの苦労話をすれば若手も興味があるでしょうし、若手エンジニアの悩みの相談に乗ることもよい入り口になります。
スタンドアローンで動くものの新規開発はほとんど無くなり、すべてのものがネットワークで繋がるIoT社会に提供するシステムには、いろいろな部門・メンバーが関わりますので、職場で孤立しないよう努力することは大切です。
まとめ
定年が65歳に伸び、人生100年時代といわれる昨今では、50歳代のシニアエンジニアはまだまだ現役の真っ最中といえます。体力・健康の維持に気を配り、新しいことにチャレンジする若い気持ちを維持して前向きに業務に取り組めば、組織の中核人材として存在感を増し、さらに収入をアップさせることも可能です。ぜひ、エンジニア人生の充実した終盤を過ごしてください。