文系出身はエンジニア職が難しいのか

エンジニア職のうちITインフラエンジニアの場合は、必要とされるスキルセットがある程度決まっており、文系出身者からの転身や転職が各種エンジニア職の中ではやりやすいといえます。Windowsサーバー、Linuxサーバー、Cisco系のネットワーク、Oracleデータベースの基本知識があれば、とりあえず定型業務中心の運用監視の仕事ができます。また、開発エンジニアもJava系言語をマスターすればフレームワークという開発支援環境が整っており、小規模のWebアプリケーション開発なら短期間でノウハウを習得できます。また、基本・応用情報処理資格やその上の各種スペシャリスト資格に加えてマイクロソフトやオラクル・シスコなどのベンダー資格もスキルランク別で提供されておりめざすITエンジニアの分野やスキルに即した資格も整備されていることも追い風になっています。

出身学部ごとのITエンジニア職で生かせるポイント

文系出身者が学んだことをITエンジニアで活かせることもいろいろありますので、出身学部ごとにまとめてみます。

経済学部出身者

業務系システムで金銭が関わる場合、簿記の知識が必須になります。特に簿記2級を取得していれば、強くアピールできます。理系出身者が一から簿記を学ぶことは敷居が高く、2級まで取得することは、IT系の難易度の高い資格を取得するより難しいといえます。

また、将来プロジェクトマネージャになった場合は、収益責任も負いますので、その意味でも金銭・数字に強いことは大きな強みになります。

文学部出身者

ITエンジニアの重要なスキルとしてドキュメント作成があります。設計書やマニュアル、手順書などを作成します。理系出身者はともすれば文章を書くことが苦手なため、文章力を持っていることはITエンジニアとして有利になります。ただ、それらのドキュメントは情緒的な内容ではないため、論理的な文章展開をする訓練は必要になります。

法学部出身者

業務系システムでは、業務対象により各種法令を理解しないと設計できないものがあります。また、ビジネスに伴う各種契約書を読み解き理解する人材も必要です。ともに理系出身者には苦手な分野であり、そういう分野に強い法学部出身者は、プロジェクトで重要なポジションに就くことができます。

教育学部出身者

若手を教育したり、クライアントにわかりやすく指導したりする教育力は、ITエンジニアにとって重要なスキルです。特に教育実習を経験した教職取得者は、大勢の前でしっかりと自分の言葉が話せる得難いスキルがスタート時点で身についており、ITエンジニアとしてもプレゼンや会議でそのスキルを発揮できます。また、転職時の面接でもその対応力を発揮すれば優位になりますし、資格試験に合格するノウハウも身に着けているのではと思います。

そのほかの学部出身者

外国語学部出身ならグローバルなシステム開発や外国人技術者とのコミュニケーションでその能力を発揮できます。

心理学系なら、クライアントやメンバーとのコミュニケーションや自身のメンタル管理でそのスキルを活かせます。

音楽系なら、音符を読み書きする能力はプログラムを読み書きする能力につながり、良い開発者に成長できる可能性があります。

まとめ

ITエンジニア職は、いうまでもなくITスキルが必須ですが、プロジェクトでシステムを構築する局面では、コミュニケーション力・プレゼンテーション力・折衝力・説明力・対象業務の理解力、マネージメント力などいろいろなスキルが要求され、そのなかで文系出身者が活躍できる場面は多くあります。また、IT系のスキル習得は技術の進歩でよりビジュアルで活用しやすいツールなどでカバーされて敷居が低くなっていますので、ITエンジニアになりたいという強い思いがあれば実現できます。ぜひ、チャレンジしてください。