社員かフリーランスか

ほとんどのアプリケーションソフトがWebブラウザ上で動作するとともに、クラウドや仮想環境の普及に伴ってITサービス全体がほぼ共通プラットフォーム上で動作するようになりました。加えて、ハード・ソフトや通信環境の進化でITエンジニアはノートパソコン1台あれば、どこでも仕事ができる環境になっています。このため、会社組織に縛られず自分のペースで仕事ができるフリーランスITエンジニアも増加しており、フリーランスと仕事を依頼したい企業をマッチングするWebサービスも増えています。その上位ランキング上位者は、年収1000万を実現できているようです。

そこで、ここではITエンジニアが企業の正社員として仕事するメリット・デメリットとフリーランスで仕事するメリット・デメリットを比較検討してみました。

正社員のメリット

・普通に勤務していれば、会社が倒産しない限り雇用は守られ、いざという時に休職・休暇制度も活用できて安心できる

・社会的な信用を得やすく、審査が必要なローン、賃貸、キャッシュカード作成などが容易である

・健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険、所得税、住民税などの社会保障や税制への対応は会社が代行し、給与天引きなどで意識せず処理されるため、特段の手間も抜けも無い

・ブラックな企業を除けば、残業・休出等は三六協定で規制され、その他各種ハラスメント等も法令による規制で守られている

・特別な取り組みをしなくても、ある年代までは年収のアップが期待でき、年を重ねて専門性が衰えてきてもマネージメント力などのヒューマンスキルで年収の維持やさらなるアップの可能性もある。

正社員のデメリット

・ITエンジニアとして長く働きたい場合でも、会社の人事都合で他の職種への転換を強いられることがある

・ITエンジニアとして関わりたい新技術や新分野があっても、会社の業務とかい離していれば、仕事で関わることは難しい

・職場の人間関係がうまくいかないときでも、すぐに異動等で解決できない場合がある

・大企業の管理職や中企業の役員クラスにならないと年収1000万の実現はむずかしい

フリーランスのメリット

・ITエンジニアとしてやりたい仕事、場所、時間を選択できる

・正社員のような人事制度で給与が決まるのではなく、実力と成果しだいで高い収入を得られるため、若くして年収1000万を実現できる可能性がある

・人間関係で悩むことが少ない

・やりたい仕事を選択しながら、自身のスキルアップを連動して推し進めることができる

フリーランスのデメリット

・労働時間その他、すべて自己責任での管理になり、なにかの原因で仕事ができない状態になると即収入に影響する

・正社員に比べると社会的な信用を得ることが難しい場合があり、ローン手続きなどで困る可能性がある

・社会保障や税制への対応は、すべて自分で行う必要があり、思いのほか時間や手間がかかる

・労働時間管理も自分で行うため、結果的に長時間労働になる可能性がある

・技術力が衰えると年収も減少する可能性が高い

正社員がよいかフリーランスがよいか

正社員は会社という組織に守られる部分と成約される部分の両面があります。

一方、フリーランスは、組織に成約される部分はありませんが、組織に守られる部分もありません。

年収面では、正社員は長時間残業や休日出勤の急増でもないと年収が急増することはありませんが、体調を崩して休職でもしない限り、急減することもありません。

フリーランスは、効率よくできる得意分野の仕事の受注を続けて、年収を急増させることができる可能性がありますが、そうでない仕事が続いて急減する可能性もあります。

それぞれ一長一短がありますので、これからのITエンジニアの生き方として、ある時期はフリーランス、ある時期は正社員というハイブリッドな生き方も有りではないでしょうか。