働き方改革でITエンジニアも昔に比べるとかなり残業や休日出勤が減っており、空いた時間で副業をはじめるひとも増えているようです。それを支援するクラウドソーシングという仕事をしたい個人と仕事を依頼したい企業をマッチングするWebサービスも登録者を増やしています。それらのサービス利用者の上位ランキングを見ると月100万円近く稼いでいるプロクラウドソーサーと呼ばれるやり手もいるようで、自分もフリーランスになって在宅で好きな時間に働き、高い収入をめざしたいと思っているITエンジニアも少なくないでしょう。
しかし、実際にフリーランスになってみると、こんなはずではなかったと後悔するケースも多々あるようですので、そうならないようにフリーランスの落とし穴とその対応策について考えます。
コンスタントに仕事を確保することは難しい
フリーランスは、仕事を確保することから自分で行う必要があります。うまく単価の高い仕事を受注できても、そのあとの仕事までに日数が空いてしまうと意味がなく、仕事のスケジュールを見ながら次やその次の仕事の確保へのアクションが必要です。また、せっかく確保できていても、スケジュールどおり今の仕事が終わらないと次の仕事とのスケジュール調整という余分な作業が発生します。
このため、長期にわたりコンスタントに仕事を得られるお得意先を1つ2つ確保することが非常に重要になります。
アクシデントは自分でカバーしなくてはならない
病気とは縁がないという自信があっても、けがや身内の事情などで仕事ができないトラブルはいつ発生するかわかりません。会社勤めなら、職場内である程度カバーしてもらえますが、フリーランスはトラブルも自分でカバーする必要があり、つらい思いをすることもあります。
フリーランスであっても何人かの同志と組むことで、ある程度のトラブル対応ができる可能性があります。
社会保障や税制に自分で対処する必要がある
健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険、所得税、住民税などの社会保障や税制への対応は、会社員なら会社が代行し給与天引きなどで手間も漏れもなくできますが、フリーランスは自分ですべて行うことになります。やってみるとわかりますが、それぞれの事務作業は結構手間も時間もかかります。だからといって抜けがあると後々後悔することが起こります。
最近はこういう事務処理を代行するフリーランス向けサービスもあるようですので、少しコストがかかっても利用することも検討したほうがいいでしょう。
孤独な生活が続く可能性がある
会社員なら、出社すればいやでも周りのひととのコミュニケーションが発生しますが、フリーランスとして在宅で仕事をしている場合、自分からコミュニケーションを取りに行かないと1日誰とも口を利かないという生活が続きかねません。
在宅だけでなく、時間貸しのフリースペースで仕事をすることや、フリーランス仲間を作って情報交換すること場を設けることも心がけましょう。
思ったほど手取り収入が増えない
各種社会保険費や税金などが年収の20%以上発生します。会社員で額面1000万円でも手取りは800万円以下になります。フリーランスでも同じことですから、よく眼にする年収1000万円を実現するには、月100万円以上をコンスタントに稼ぐ必要があります。ITエンジニアの派遣相場からみて上級スキルレベルですのでよほどの専門性がないと実現はむずかしいでしょう。
技術力が衰えてくる年代以降の将来不安がある
会社員だとITエンジニアとしての技術力が衰えてくる年代になっても、マネージメント力で仕事に貢献することで役職が上がり、さらに年収がアップする可能性もあり、そうでなくても年収はほぼ維持できます。フリーランスの場合は、会社を起こすなどをしないかぎり、技術力の衰えが年収の下降につながります。
フリーランスのときにしっかりと人脈を作り、機会があれば、再度組織に属することも視野に入れてはどうでしょう。
まとめ
ネットなどでフリーランスのメリットを誇張する記事や広告をよく見かけるようになりましたが、それほど甘くありません。それでもフリーランスに挑戦するなら、副業として安定的に収入が得られ、自信がついてから3年程度の期間を決め、その期間で見込みがつかなかったら撤退するというしっかりした方針を決めてチャレンジすることをお勧めします。