人材の売り手市場が続いており、転職サービス会社は大手の総合人材サービス会社から専門職向け人材サービス会社まで激しい人材争奪競争を行っています。転職サービス会社は、一般的に成約時に企業から初年度理論年収の3割~3.5割を成約手数料として受け取りますので、ひとり100万円~150万円程度にもなり、非常に大きな収益になります。転職希望者は登録無料ですので、キャリアアドバイザーのサポートや各種企業情報が簡単に入手できる点から転職サービス会社の利用が一般的になっています。
一方、転職サービスとして従来の公的なハローワーク(公共職業安定所)があります。以前は、各地のハローワークに出向いて専用端末で求人情報を確認する必要があり、在職中は利用が難しいなどの難点がありました。現在はWebでの求人情報の閲覧もできるため、わざわざハローワークに出向かなくても済む簡便な利用も可能になっています。細かく職種で検索もでき、意外とITエンジニア募集情報も掲載されており、転職を本気で考えている場合は、登録してみる価値がありそうです。そこで、ハローワークを利用するメリットを考えてみます。
ハローワーク利用のメリット
企業の成約手数料が無料なので、中小企業やベンチャー企業の求人情報を入手できる
転職サービス会社を利用して成約した場合、企業は手数料として100万円~150万円程度を支払う必要がありますので、その余力の少ない中小企業やベンチャーにとっては敷居が高いものになっています。そういう企業の求人は、ほとんどハローワークに流れますので、転職サービス会社で紹介されていない求人情報を得ることができます。
地域密着の求人情報を見つけやすい
ハローワークは、全国に540ヶ所以上もあり、各地のローカル企業からの求人がたくさん掲載されています。転職サービス会社の求人情報もある程度地方の求人情報が掲載されていますが、やはり大都市中心であり、この点は、ハローワーク求人情報にかなり分があります。また、職業安定法でもできるだけ求職者が転居を伴わない求人案件を斡旋するように決められていますので、地元で働き続けたい転職希望者には登録する価値があります。
未経験可の求人も多く、職業訓練を受けることもできる
ハローワークを利用する企業は、転職サービス会社を利用したときに支払う成約手数料の出費が厳しい規模の会社が多いため、バリバリのITエンジニア採用は容易ではなく、その分、ITエンジニアの職歴が浅い、あるいは別の職種からITエンジニアを目指したいという未経験者も可の案件が多いようです。転職希望者が望めば、Webプログラマー養成、Webサイト製作・運営、Javaプログラマー養成などのITエンジニア向け職業訓練コースを民間の専門学校で無料受講することができます。加えて一定の要件を満たせば、受講期間中月10万円+通所手当+寄宿手当が支給されますので、該当される方は利用を検討してはどうでしょう。
労働基準法違反の企業の求人情報は載らない
ハローワークは厚生労働省管轄ですので、労働基準法違反の企業(いわゆるブラック企業)の求人情報は掲載されませんので安心です。
相談員に自己分析など幅広く相談できる
転職サービス会社でもキャリアアドバイザーが各種相談に乗ってもらえますが、成約することがキャリアアドバイザー自身の賞与などに影響するため、客観的な立場ではなく成約方向へ誘導する場合もあるようです。ハローワークの相談員にはそういうインセンティブ的なものはありませんので、客観的に相談に乗ってもらうことができます。
ハローワークを利用しよう
離職したあとには必ず失業保険の手続き等でハローワークに行くことになりますので、そのときに専用端末でエンジニア求人案件を探してみましょう。転職サービス会社の求人情報では見かけないような知らない会社の求人情報も出てきます。転職は人生の大きなイベントですので、できるだけ多くの情報を収集し、より自分にマッチングする企業との出会いのチャンスを増やしましょう。