多重下請け構造はデメリットしかない!SESが仲介企業を減らす方法

SESとはSystem Engineering Serviceの略で、技術者を労働力として派遣するサービスを指します。エンジニアは客先の企業に常駐して仕事することによって報酬を得ます。

SESにおいては、他の業界には珍しい多重下請け構造が多く見られます。間に仲介企業を挟む二次請負どころか、三次請負、四次請負、五次請負等もよく聞きます。間に仲介企業を挟むと、その分仲介料が積み重なっていくので、下請け企業や現場で働くエンジニアにはデメリットしかありません。

今回の記事では、IT企業で多重下請け構造が見られる理由と、仲介企業を減らす方法について解説してきます。

IT企業で多重下請け構造が見られる理由

国家事業や大企業のシステム開発は、世間に名前が知られているような大手IT企業が請け負います。ところが、大きなプロジェクトの場合、請け負った企業だけではエンジニア等の人材が不足します。そこで、請負企業は他の協力企業へ人材を募集することになります。

人材の募集を受けた二次請け企業は、元請け(一次請負)企業に技術者を派遣します。ところが、二次請け企業でも常にフリーの人材がいるわけではなく、提供できる人材の不足が発生します。そこで、二次請け企業は繋がりのある企業へ、案件の話を広めることになります。

プロジェクトが大きければ大きいほど人材が不足し、案件はピラミッド状に二次請けから三次請け、四次請けと広がっていきます。これがIT企業において見られる多重下請け構造です。

多重下請け構造のデメリット

多重下請け構造は下層に行けば行くほど報酬が少なくなり、デメリットが増えていきます。主なデメリットについては以下の通りです。

  • 報酬が低下する
  • 業務の質が悪くなる
  • 担当できる期間が短くなる
  • 仕事の質が低下する

まず、多重下請け構造においては下層に行くほど仲介企業が増え仲介料が加算されます。その分、下請け企業や常駐するエンジニアの報酬は少なくなります。自分のスキルとは関係ない部分で報酬が引かれるのはエンジニアにとって大きな不満と言えます。

多重下請け構造において、業務は良いポジションから埋まっていきます。つまり下層に行くほど、他のエンジニアが選ばなかった質の悪い業務になります。具体的には、エンジニアとしてのスキルが習得できなかったり、激務になりやすい業務が多くなります。

また、仲介企業が増えるほどプロジェクトに入る時期が遅れることになります。プロジェクトに途中から入ると、システムを把握するまでに時間がかかり、仕事も忙しくなります。さらに、プロジェクトが落ち着き人員の整理が行われると、真っ先に切られやすくなります。

多重下請け構造だと、間に仲介企業が多く入るため、自分の評価や働きぶりが伝わりにくくなります。正確に伝わるのは勤務時間だけなので、働く時間を長く伸ばし、仕事の質は低下しやすくなります。

仲介企業を減らす方法

下請け企業にとって、仲介企業が入るのはデメリットしかありません。そこで、エンジニアは現場で働きながら、仲介なしの契約にしていく努力が必要になります。

まず、エンジニアは営業と連絡を取り、間に入っている仲介企業の数と名前を伝えましょう。営業側は間の企業を把握することにより、仲介企業を取り除きやすくなります。

さらに、現場のエンジニアは上層の企業と繋がりを持つように心がけます。特に、元受け企業の人事権を持ったポジションの人材と話せることが重要です。

営業と連携して元受け企業と直接契約できれば、仲介なしの契約となります。さらに、今後人材募集があった際にも、上層での仕事を獲得できるチャンスとなります。

まとめ

SES契約のエンジニアにおいて、仲介企業を減らす努力はとても重要です。仲介料が減るため報酬が増え、さらに自身の働きぶりも伝わりやすくなります。

企業にとっても、大手企業と直接繋がりを持つことで業績が上がります。仲介企業を減らすことは、企業とエンジニア双方に数多くのメリットをもたらします。