直近年収と希望年収の差は埋まるか

転職時には、必ず、直近の年収と希望年収を面接で確認されます。あらかじめしっかり数字を意識していないとつい遠慮がちに低めに言ってしまい後悔する場合もあります。
エンジニアにとって転職は年収アップの大きなチャンスですので、安易に考えず、しっかり準備することが必要です。ここでは、転職時に希望年収を獲得するための手続き的な注意点に加えて、転職時により自身の価値を高める手段をご紹介します。

直近の年収の額面(税込)と手取り額をしっかり確認しておきましょう

以前は、転職時に直近の源泉徴収票を提出することを求められることが多かったのですが、個人情報保護などから、口頭でのみ直近の年収を聞かれるケースが多くなっています。入社後しばらくは、基本給や賞与額の額面は必ず確認しますが、数年たつと振り込まれた金額が想定内であれば、あまり細かく額面金額をチェックしなくなります。しかし、転職時には、それらをきっちり把握して伝えないとせっかくの年収アップの機会を失います。このため、直近の源泉徴収票や給与・賞与明細は事前に確認し、額面と手取り額、基本給と残業手当、ほかの諸手当の有無などをしっかり確認しましょう。そして、転職後の希望年収を設定してください。転職すると人事評価がリセットされますので、その後の2年程度は昇給が期待できない可能性があります。このため、1割程度希望年収にプラスを織り込んでおかないと、実質変わらないもしくは諸条件で下がってしまう可能性もありますので注意しましょう。

超過勤務手当がみなし支給か実時間支給かを確認しましょう

ITエンジニアの場合、一定時間相当の時間外手当込みで定額というようなみなし残業制度が特に中小規模の企業で多いようですが、要注意です。きっちりと一定時間を超えた分を時間単位で支給する企業はもちろんありますが、ともすれば時間管理がルーズになり、大幅に超えない限り支給されないこともよく聞く話です。どのように時間管理されているかを面接時にしっかり確認しましょう。みなし残業制ではなく、実残業時間分を支給する仕組みの企業はその面では安心できます。

自分の価値を高めましょう

転職時に自分の価値をより高く見せることで、直近年収を上回る希望年収獲得が期待できます。
確実なのは、資格を取得することです。ITエンジニアの場合、広く業界に認知された資格がいくつもあり、取得することで転職時の自分の価値を上げることができます。基本情報処理資格・応用情報処理資格・各種スペシャリスト資格などの国家資格は高く評価されますが、年に1回もしくは2回しか受験機会がなく、転職活動を始めてからでは遅いため、日ごろから長期計画で取り組む必要があります。Linux認定、Oracle認定、マクロソフト認定、シスコ認定などの定番のベンダー資格もその価値が認知されており、毎月受験機会がありますのでお勧めします。

職務経歴書を充実させ、しっかり面接準備をしましょう

IT業界では、キャリア採用が珍しくなく、日常イベントの1つになっている企業もあります。このため、ひとりの採用にそれほど時間もかけませんので、経歴書や面接の印象で意外と簡単に設定年収を決める企業もあります。そこで、合否はもちろんですが、希望年収を獲得することを目的に経歴書や面接の準備することが必要です。経歴書や面接準備のポイントは、いろいろな情報源を参考にしてください。希望年収の設定ポイントとしては、先に述べた現年収の1割程度をオンする、みなし残業制度か残業実績支給かを確認するほかに、自分の経歴や分野での平均的な年収を調べて把握してください。同じ業種・経験でも都会と地方での年収差がありますので、その点も考慮しましょう。あまり平均的な年収と希望年収が離れていると、その点が合否に影響する場合もありますので、注意が必要です。

転職は、年収を大きくアップする絶好の機会です。ここに取り上げたようなポイントをしっかり実践して、希望年収を獲得しましょう。