エンジニアの平均年収

サラリーマンの業種別の平均年収は、厚生労働省が毎年行っている「賃金構造基本統計調査」で知ることができます。
また、大手人材サービス会社は、業種別の求人案件モデル年収を公開しています。これらのデータからITエンジニアの年収事情を探ってみます。

業種別モデル年収平均ランキング

マイナビ転職データ2018年版の111業種のデータを見ると、1位から6位までは、各種金融業界が占めており、600万後半から1000万以上とうらやましい年収のようです。6位7位は住宅・内外装工事業界で600万半ば、あとは各種コンサルタントが600万程度、その下に官公庁や電機業界が続き、ソフトウェア・情報処理は、32位で500万前半となっています。実感的には、少し低めに出ているような印象を受けますが、大きくは違っていないでしょう。それほど高くはないが低くもないといったところでしょうか。

ITエンジニアの平均年収変化(以下、厚生労働省 賃金構造基本統計調査からデータ引用)

2017年度のITエンジニアの年収を2010年度と比較してみます。

2017年度全体男性女性
平均年齢
38.038.534.9
勤続年数11.311.69.4
残業時間17.017.014.0
平均月収(万円)37.538.432.2
平均賞与(万円)100.4102.588.0
平均年収(万円)550.8563.6474.4
2010年度全体男性女性
平均年齢36.136.732.9
勤続年数10.911.48.0
残業時間19.019.016.0
平均月収(万円)37.238.032.4
平均賞与(万円)101.9104.388.0
平均年収(万円)548.2560.4475.8

このデータ比較で気づくことが2点あります。

この7年でほとんど年収に変化がない

全体で平均年齢が2歳上がっているのに年収が2万円弱しか上がっていないということは実質下がっていることになります。これはITエンジニアに限らず、日本のデフレ経済状況の結果でしょう。最近は人手不足が極まっていますので、さすがに2018年度はある程度上がっているのではと予想します。

この7年でほとんど残業時間に差がない

最近は「働き方改革」として残業時間の抑制を大手企業が中心に実践しており、IT業界でも残業時間が減ってきたことを実感しますが、平均のマジックでしょうか、7年前と2時間しか差がありません。7年前は、IT業界といえば残業が多いということが常識のようだったイメージがあり、この結果はかなり意外です。

企業規模別年収比較

社員数年収(万円)月収(万円)賞与(万円)
10~99人484.835.658.0
100~999人528.436.293.5
1000人以上607.637.5100.4

このデータから企業規模で年収に顕著な差が発生していることがわかります。IT業界の二次請け・三次請けという階層構造が根強く残っている実態を物語っています。

ITエンジニアの職種別年収

ITエンジニアの仕事には、上流工程といわれるIT企画やコンサルティング・システム提案・要求分析などやシステム開発のマネジメント、設計開発を実際に行う中流工程、開発したシステムのテストや導入後のサポートを行う下流工程、そしてシステムが稼動するITインフラの設計・構築・運用・保守と非常に幅広くあります。各職種の年収は、やはりその業務の難易度に比例しており、マニュアルや手順書がある運用やヘルプデスク業務と漠然とした要望を具体化していく企画・コンサルティング業務では倍近い差があり、億単位の大規模なシステムの上流を担当できるITエンジニアなら3倍4倍のケースもあります。

そのような高収入をめざす役割を担うには、スキルと経験の両輪が必要であり、一朝一夕にはもちろん到達できません。しかし、ITエンジニアを育成するという国策により各役割に必要な技術を確認できる国家資格や各職種の要件をまとめたITSSというスキル標準が公開されており、その内容を理解して計画的に啓発をすすめることで着実に近づいていくことができるしくみが整っていることは、他の職業にはない恵まれた環境といえます。

まとめ

ITエンジニアの年収は、経験を重ね、スキルを磨くことでより難易度の高い工程の業務を担当できるようになれば、着実にアップします。また、その結果として規模の大きな企業に転職できれば、さらに年収アップも期待できる苦労が報われる可能性が高い職業です。ぜひ、日々研鑽を重ねて着実な年収アップを勝ち取ってください。