海外で働くことを夢見るITエンジニアが陥りやすい罠

世界と比較して日本のITエンジニアは、待遇が良くないと言われています。実際に多くのIT企業が集まるアメリカ合衆国のシリコンバレーでは、ITエンジニアの平均給与が1,000万円を超えます。日本のITエンジニアから見ると、羨ましくなる数字です。

しかし、実際に海外で働くことはそう簡単ではありません。今回の記事では、海外で働くことを夢見るITエンジニアが陥りやすい罠について解説していきます。

働く国によって事情は大きく変わる

まず、海外で働く際に重要なのは、どの国で働くのかという点です。国によって、文化や生活事情、ITエンジニアの就職状況は大きく異なります。

例えば、最初に例に挙げたシリコンバレーは確かに平均給与の高い地域です。ただし、シリコンバレーはアメリカ合衆国の中でも特に物価が高い地域で、多額の生活費が必要になります。日本と比較して給与が高くても、それほど贅沢な暮らしができるわけではありません。

では、逆に物価の安い国ではどうでしょう。例えば、シンガポールを除いた東南アジアであれば、月に10万円ほどの生活費でも暮らせます。日本と同程度の給料があれば、プール付きのコンドミニアムに住みながら貯金していくことも可能です。しかし、物価が安い東南アジアでは基本的に自国のITエンジニアを雇います。日本人が働く場合には、営業やブリッジエンジニア等の日本企業を相手にする職種が多くなります。純粋にプログラマとして働く案件はそう多くありません。

このように、給料や物価といった一部の項目だけを比較して海外を夢見ると、意外な落とし穴にはまります。まずは、仕事をしたい国のITエンジニア事情について詳しく調べてみることをおすすめします。

海外で働くためには就労ビザが必要

海外で働きたいと思っても、すぐに働けるわけではありません。特に、海外で外国人が働く際には労働ビザが必要です。国によって取得事情は異なりますが、条件や手続きが思った以上に煩雑であることが少なくありません。

海外で働く際に一番お勧めする方法は、海外に進出する日本企業へ就職し、希望する国に海外赴任することです。一般的に、駐在員の待遇は現地採用よりも高く、労働ビザの取得も会社がサポートしてくれます。

現地採用として就職活動をする場合には、労働ビザの取得を企業が支援してくれることを確認しましょう。海外の日系企業の中には、人材を短期的に使いまわすような悪質な企業もあります。信頼できる企業であるか、自分で情報を収集することが肝心です。

日本へ帰りたくなる人は多い

憧れていた海外勤務を実現しても、日本へ帰りたくなる人が多くいます。その理由は主に三つ挙げられます。

一つ目は、目標を持たずに日本が嫌になり海外へ来た場合です。日本人が多く働く国では、憧れだけで海外に来た人を対象に良いことばかりを並べ立て、安い給料で働かせる企業があります。このような企業では離職率が非常に高く、給与の少なさや仕事の過酷さを理由に日本へ帰る人が多く見られます。

二つ目は、滞在する国の文化や習慣に馴染めない場合です。事前に滞在する予定の国を訪れていても、旅行と滞在では印象が大きく異なります。憧れていた暮らしと実際の生活にギャップがあり、ストレスが溜まる人は少なくありません。

三つ目は、現地採用と駐在員の待遇の違いに失望する場合です。現地採用で就職すると、日本から赴任した駐在員と比較して給与や待遇が低い傾向にあります。確固たる目的や滞在する国で働くべき理由がないと、海外で働き続けることは難しくなります。

まとめ

海外で働くITエンジニアの中には、楽しく仕事をしている人も多くいます。彼らに共通する特徴は、滞在する国が好きだということです。日本と違う環境を楽しめる人は仕事を続けやすくなります。

ITエンジニアはプログラミングという世界で共通するスキルがある分、他の職業と比べて海外就職のチャンスが高くなります。目標を持ち、逆境に負けずに努力していける人であれば、海外で成功できる可能性は十分にあります。