30歳からのキャリアチェンジ

現在は空前の人手不足で、大学新卒への求人倍率が約1.9倍とバブル期を超えているようです。しかし、今年30歳になる社会人が大学を卒業した2011年~2012年は、約1.2倍といわゆる就職氷河期でした。またIT不況の影響が残っていた時期でもあり、ITエンジニアを目指したかったけれどもやむなく入れる企業に就職したというケースも多かったのではないでしょうか。その後、仕事にも習熟して考える時間ができた今になって、改めてITエンジニアをめざしたい気持ちが強くなったという皆さんに向け、30歳からのITエンジニアへのキャリアチェンジの可能性とその方法をご紹介したいと思います。

30歳からITエンジニアにキャリアチェンジできるのか?

IT系人材不足は極まっていること、定年が65歳に伸びた企業も多いこと、それに技術の進歩も相まってエンジニアとして現役で働ける期間が長くなっており、30歳からITエンジニアへのキャリアチェンジ希望者でもしっかりとその準備をすれば転職によりエンジニア人生をスタートし、結果として年収アップにつなげることもできます。

ITエンジニアと一口に言っても、サーバーやネットワークなどのITインフラエンジニア、アプリケーションソフトを開発する開発エンジニア、業務システムを提案・導入するプリセールスエンジニア、社内のIT環境をサポートする社内SEなどいくつかの分野に分類できますので、各分野でのキャリアチェンジする方法をアドバイスします。

ITインフラエンジニアにキャリアチェンジする方法

エンジニア系の人材派遣会社では、未経験者を採用する企業が増えています。それらの企業では、入社後に研修を行った後、多くは24365と呼ばれる24時間365日のITインフラ運用管理業務からスタートします。その業務はほぼ定型作業であり、しばらくすれば習熟できますので、仕事と平行して自分で計画的に能力開発を積極的に行い、Linux認定やマイクロソフト・オラクル・シスコなどのベンダー認定などの資格取得にチャレンジしましょう。合格できれば、人材派遣会社としても派遣レートの高いインフラ構築・設計業務案件への異動を進めますので、次のステップに移る機会を得ることができます。また、派遣会社に頼らず、転職でキャリアアップできるかもしれません。

アプリケーションソフト開発エンジニアにキャリアチェンジする方法

学生時代にJavaやC#などの言語経験が少しでもあれば、こちらも未経験からソフト開発エンジニアに育成するという人材派遣企業を利用してはどうでしょう。研修を経てテスト業務からスタートしますので、その業務の間に専門性を磨き、基本情報処理資格やJava認定資格を取得すれば、より派遣レートの高い開発案件に移るチャンスを得ることができます。

また、思い切って1年間専門学校や職業訓練校に通うという手段もあります。このほうが、より短期間で確実に開発エンジニアに近づくことができます。

プリセールスエンジニアにキャリアチェンジする方法

営業とともに行動して、システム提案を技術面からサポートし、受注したシステムの導入まで担当する場合もあるエンジニアです。ITの全般的な知見はもちろん必要ですが、営業的な対応力も必要ですので、現職で営業経験があればスキルとして有効です。

まず、ITシステムやサービスの営業職に転職し、そこで、自社の提供するITサービス・IT製品を熟知して、正確に技術的な説明ができるようになれば、自然な流れでプリセールスエンジニアの役割がまわってくるでしょう。

社内SEにキャリアチェンジする方法

社内SEは、自社のIT資産の管理・調達やトラブル対応、社員からのQ/A対応、新規システムの導入窓口など幅広くサポートを行います。どの企業にも社内SEもしくはそれに準じた役割を担っている社員がいますので、仕事内容は理解しやすいと思います。

まずは、IT系のヘルプデスク業務やデーターセンターなどの定型的な運用管理業務からスタートし、ITの幅広い知見を学び、同時に自己啓発でITコーディネータ資格などの取得を目指しましょう。社内SEの転職案件はITエンジニアの中では多くないため、常に求人情報をチェックしておくことも必要です。

ITエンジニア職は、他の業界や職種からのキャリアチェンジしたケースも多く、なりたいという強い想いと強い興味に加え、しっかりした準備・実行力があれば実現することができます。ぜひ、あきらめずにチャレンジしてください。